コントラバス奏者におけるベートーヴェンの音楽

文京区での練習が終わり、落胆しながらも帰宅したわけですが、
参加しているオケはベートーヴェン専門の小規模な室内オーケストラ。
今回は第4回の演奏会でクラシックを聴かない人でも知っている曲、
交響曲第9番「合唱付」を演奏する。
ベートーヴェンの曲はどれもコントラバス奏者にとって非常に重要なポジションにある。
まぁ、どの楽器もベートーヴェン先生は重要なわけだが。
とにかく難しい。9曲存在するベートーヴェン交響曲はどれも名曲として認知されているが、
そのどの曲も一つ二つ演奏するのが難しい箇所が存在している。それ以外にも基本的に難しい。
この難しいということにも様々な場合があるのだが、ここでいうベートーヴェンの難しさと言うのは、
「基礎を忠実に演奏する」ということだろう。
トリッキーな動きを要求するのではなく、基本を塗り固め構築されている。
古典という音楽は基本的にそういう音楽なのだ。
ベートーヴェンと言う作曲家は古典からロマン派の音楽を切り開いた人間でもあると言われているのだが、
その音楽の変革期に作曲されたものは曲の構成が変化しきれていないことによるトリッキーさが現れてくる。
バロックという音楽も、バッハが確立するまでにその構成の過程は様々な試行錯誤の後が見られる。
そのバロックという確立された音楽を更に発展させようとする者の存在により古典への扉は開かれるのだが、
その過程の音楽、例えばC・P・E・バッハを聴くとその新たなものへの試み具合は顕著に聴く事が出来る(下記動画)。

今回演奏する第九はつまりは古典とロマンとを繋ぐ一曲であり、ベートーヴェンの集大成でもある。
難しくない訳が無い。
第九はコントラバス奏者にとって一度は演奏してみたい曲である。
4楽章冒頭のレチタティーヴォコントラバスのためにあるようなものと言えば言い過ぎかもしれないが、
大抵の映像を見ると必ずと言っていい程コントラバスが映る。
バス弾きにはたまらない名旋律だ。
そこはまだ演奏が可能な世界。
問題はその後にある。
立て続けに現れる連譜と複雑な動き、完全な古典とは言い難い譜面がそこにある。
それがまた一つのこの曲の魅力なのかもしれない。

おお友よ、このような音ではない!
我々はもっと心地よい
もっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか

やっぱ第九はすげぇなぁ…
とにかく練習しないと…